紅葉狩り
母と連れ立って、紅葉鮮やかな甲府・昇仙峡へ行ってきました
ジパング会員である母が、電車の旅をしたいというのです
日帰りでしたが、天候にも恵まれ、今は盛りの紅葉を楽しむことができました
私の母は、83歳
父が他界してから14年
田舎で一人暮らしをしています
ついこの間まで、ご近所の不良未亡人仲間(本人曰く)と映画をはしごしたり、サークル活動に熱心に取り組んだりしていました
私が年に3〜4回帰省した時も、まだこんなに家電(いえでん)使ってるんだと感心するほど身内や友人から電話がかかってきていました
一緒に出かけて帰ってくると、玄関前に、野菜や花が置かれていたり、私が来ているのを知って遠慮してお帰りになるお友だちもいて、逆に申し訳なく思ったものです
離れて暮らす母を心配して電話していても、誰か来たからもう切るね、と言われてしまうくらいでした
それが‥‥
この夏、長年活用してきた原付バイクを処分してから、少し様子が違ってきました
母は山の上にある畑までバイクで通って、野菜作りを楽しんでいましたが、数年前には転んで手首を折る大怪我をしてしまいました
バイクについて、私たち娘は、幾度となく処分をうながしてきました
今回、懇意の自転車屋さんが廃業するのを機会に、母自身が身体の衰えを感じて決意したのです
身体が動くうちに、バイクのない生活に慣れなくてはいけない、と頭ではわかっていたのでしょう
便数は少ないとは言え、家の前がバス停ですし、出かけようと思えば、母のバイクより確かとも言えます (残念ながら畑までのバス便はありません)
ただ、歳をとるのは、私の母だけではありません
2年前にお隣の仲良し未亡人が亡くなり、遊びに来てくださっていたお友達の何人かも、自転車が難しくなったり施設に入ってしまったりしたようです
母とは7歳違いの叔母がやはりバイクでよく遊びに来てくれているようですが、生活範囲は明らかに縮小してしまいました
気の弱くなった母は、私たちが帰省するのを待ち望んでいます
JRのジパング会員割引も、今年は使う機会なく期限が切れそうだと、気に病んでいました
元は取れなかったみたいですが、遠出ができる、という気持ちを維持するための会員証だったとすれば、十分価値はあったかなと思います
私も、できる限り、母の望みを叶えてあげたいと思い、今回、甲府への電車の旅となりました
荷物は最小限にしようね、と約束したのに、母のリュックからは、ミカンやお菓子が次々と出てきました
富士山が見える度に、ほら見て、と私の袖を引っ張ります
母のはしゃいだ顔を見ているのは、とても幸せでした
あとどれくらい母との時間を持てるものかと考えると、これからは、わがままも毎度の昔話も喜んで聴いてあげたいですね